自転車にまたがりながら なんとかめまいを堪えて、前日行ったばかりの総合病院に行きました。
自転車にカギをかけると、受付で恐る恐る、
「あのー・・・昨日も来て大丈夫と言われたんですけど・・・しびれが広がってておかしいんで、もう一回見て欲しいんですが・・・。」
と、この後に及んでもまだ、やっぱり何でもないかもしれない、クレーマーだと思われたくない、などと考えてて控えめに話してました。
「内科診察室前でお待ちください」と事務的に言われ、また待たされるんだろうな、と思いながらぼんやりして待ってました。
普段予約なしでいくと、何十分も待たされるんですが、この時は割とすぐ名前を呼ばれました。
中に入ると、昨日の若い感じの人ではなく、おじいちゃん先生でした。
・・・すごく不安になりました。と同時に、ここが正念場だと腹をくくりました。
まず一通り聞かれることは同じです。高血圧、酒、タバコ。どれもNOと答えます。
それから、呂律がまわるか、手が握れるか、など聞かれますが、しびれはあるものの、動きに問題はないので正直にそう答えます。
型通りの返答をしているうちに、
「このままじゃ昨日と同じ診断になる・・・様子を見ましょう・・・になる!」と感じました。
そこへきたのがこの質問。
「普通に歩けますか?」
正直なところ、歩くどころか自転車でここまで来てますから(笑)、昨日までの自分だったら「大丈夫です」と答えてしまってたかもしれません。
ここだ!と、思いました。
主張するなら今しかない!はっきり言ってやりました。
「ちょっと右足が歩きにくいです・・・」
お医者さんを前に言うのはこれが精一杯でした。しびれで歩きにくいのは本当ですし、ウソはつきたくなかったので。
軽く触診をした後に、「じゃあ、一応CT撮ってみようか。」と言われました。
なんだかわかりませんでしたが、一応くわしい検査してもらえるというのはわかりました。
心の中で小さくガッツポーズしました。
書類を渡されながら、CT室わかりますか?と聞かれました。
「普通知らんだろ!」と思いながら場所を聞いて行こうとすると、看護師さんが付き添ってくれました。
「歩けますか?」と言われて、それまで割と普通に歩いてたんですが急に軽くびっこ引きながら「なんとか大丈夫です・・・あは」と答えて気まずいまま検査室へ。
もちろんこんな検査など初めてで、ドキドキしつつも好奇心でキョロキョロしてました。
台の上に座ってください、横になってください、頭固定しますよ、と正に手取り足取りでした。
円筒形の機械の中に少しずつ入っていき、ビッビッビッビッと音が聞こえます。結構汚れてるなー、血の跡かな?などと呑気に考えてました。
「お疲れ様です、終わりました。そのままお待ちくださいね。」と言われ、1〜2分横になったまま待たされました。
えらい待たされるな?と思いましたが、初めてのことなのでこんなもんかと思っていると、しばらくしてようやくベッドが動きました。
筒を出て、ゆっくり起き上がると、さっきまでなかった「車椅子」がすぐ横に置かれていました(!?)
「ゆっくりでいいので車椅子に座ってください。」
「歩きにくそうだから用意してくれたのか?大げさだな」と思いながらもありがたく座らせてもらいました。
車椅子を押されながら待合室を通る時、みんなの視線を感じちょっと恥ずかしかったです(笑)。
と、そのとき衝撃の一言が。
「このまま緊急搬送になります。今救急車を呼びましたので。」
んん?救急車?ここ病院だよね?
・・・え?救急車??
頭の中はハテナでいっぱいでした。
診察室に入ると、先ほどの枯れた感じのお医者様が、テンション高めの笑顔で待ち構えていました。
「キミ、脳出血だよ!今救急車向かってるから奥のベッドに横なってて。大学病院に今連絡とってるから!ご家族に連絡とれる?」
心なしか、早口で饒舌になっていたような気がしました。
「脳出血、男性1名、受け入れ大丈夫でしょうか!」
「ご家族連絡取れた?ケータイ使っていいから!身体は動かさないように!一応点滴しとくか!」
「救急車あそこから来るからおそいんだよね〜。」
なんだか楽しそうです(笑)
職員さん達もバタバタとし始めてる中、最近あまり会話もなかったカミさんに電話しました。
カミさんはあまりケータイ見ないどころか携帯してないことも多々あり、自分が家を出た時にはすでにいなかったので、「出なかったらどうしよう?」という心配もありましたが、運良くでました。
カミ「どうした?」
自分「今病院なんやけど、脳出血やって。これから大学病院に救急車で運ばれるみたい。」
カミ「え??」
このときはまだ症状の出始めで割と元気だったもんで、どこか他人事のような感じでした。
ここからは全てが初体験の連続でした。
救急車のサイレンが近づいて来たと思ったらフッと止まり、担架を押しながら早足で隊員さんが来ました。
四方を囲まれ、1.2.3.の掛け声で担架に素早く乗せられ、救急車までの移動。
「絶対動かないでください」とベルトで固定され、仰向けのままボーっと、動く天井を見ていました。
「意外とガタガタ振動くるな」
「あ、裏口から出るのか」
「外寒い」
「へー、この高さのまま担架の足が折れて、そのまま救急車に乗れるんだ」などと興味深々でした。
移動中は質問責めでした。生年月日、名前がわかるか、ここまでの経緯は?などを何度も聞かれました。
身分証をポケットの財布から出そうとしたら、
「動かないでください!こっちでやります!」と、財布の中身を全部見られたので、
ちょっと嫌でした。
それ以外はボーっとしながらも、目だけはキョロキョロしてました。
普段はいち早く道をゆずる救急車に、まさか自分が乗ることになるとは!
こんな経験なかなかないぞ。今日は俺が主役だ。
車内からモーゼ状態を見てやるぜ!
・・・なんて思ってたんですが、
救急車の窓って、完全に塞がれてるんですね・・・。
今曲がったかなー?くらいしかわかりませんでした(笑)
こんな調子で、このときはまだ事の重大さに気付いていませんでした。
完全にアホですね。
めまい、右手足のしびれはあるものの、まだ元気でしたからね。
次回から入院編に入ります。
コメント
ゆっくりスタートの脳出血だとこんな感じなのですね。まあ、いきなり頭痛、嘔吐スタートでも動けなくなるまでは判りませんでしたが。
コメントありがとうございます。脳出血なんてまさか!?ですよね。頭痛と吐き気ですか・・・いきなりの出血も怖そうですね。また色々聞かせてください。