第71回 病室で競馬

入院しているといろんな人に出会います。

若くして病気になった人、中年の劇団員、社長さん、プロのサッカー選手を目指していたのに車イス生活になっちゃった人、半身不随になって定期的に入退院を繰り返している人、病気になったけど完治して元の職場に戻っていく人、職場だとゆっくりできないから違う病院でリハビリ入院している看護師さん、病院生活がイヤだからと無理やり退院していく人、なぜか一本道の病棟で毎日迷子になるおばあちゃん、ちょっとしたことで怒り爆発するおじいちゃん、夜中に奇声を上げる方々、しょっちゅうナースコールするので、ほっとかれるおじいちゃん、などなど。

ベテランの看護師さんになると、自分自身も病を抱えながら働いている人も少なくありません。以下、朝の会話。

自分「今日はめまいが強くて・・・」
看護師さん「私もめまいがあるのよ~。酷いときは辛いけど休むわけにもいかなくてね~」

自分「寝てばっかりで腰が痛くて・・・」
看護師さん「私も腰痛持ちで病院通ってるのよ~」

自分「耳鳴りがして・・・」
看護師さん「私もずっと耳鳴りしてるのよ~」

自分「昨夜は頭痛で眠れなくて・・・」
看護師さん「私も片頭痛もちなのよ~」

自分「良くなるならいっそのこと手術も視野に・・・」
看護師さん「辛いわよ~?私も手術して今鉄板が入ってるのよ~」

自分「眼の焦点が合わなくて・・・」
看護師さん「私も片目だけ視力が悪くて、片目だけコンタクトしてるのよ~」

毎朝検温をして、体調を聞かれるのですが全てにおいて上回ってきますもしかして負けず嫌い?具合良くないのに働いてる姿を見せられると、これくらいで挫けちゃダメだと思わずにはいられません。(笑)

当たり前かもしれませんが、年齢を重ねるごとに病気にもなりやすいもので、特に脳卒中なんかは年配の患者さんが多かったです。なので同年代の人はあまりおらず、共通の話題も病気の事ばかりなのでそこまで親しくなる機会もなく、早く良くなりたいとそんなことばかり考えていました。

あるとき、同じ病室の方が新聞片手にテレビを見ていました。なんとなくそちらの方を見ていると、「よかったら一緒に見ますか?」と声をかけられました。年配の方でしたが、自分の方が先に入院していて色々教えてあげたということもあり「入院の先輩」と呼ばれ、よく挨拶する仲でした。

車イスでベッドの脇に行ってテレビを覗き込むと、競馬でした。「次のレースの予想してみますか?」といって新聞を渡してくれました。正直、競馬は北海道のばんえい競馬というのんびりしたレースを観光時にちょっとやったくらいで、ほとんどやったこともなく、「賭け事は胴元が儲かるようになってる」と思っているのでそれほど興味はなかったのですが、ヒマな入院生活で特にやることもなかったので色々教えてもらいながら予想してみました。

これがなかなか難しい!当たり前ですがそうそう当たるものではありません。情報量も多いです。紙媒体の物が売れないこの時代に、毎週競馬新聞がいくつも発行されていると聞けばそのすごさが分かるでしょう。馬の年齢・性別・毛色・血統・馬主・調教師・騎手・過去の戦歴・最近5レースの成績からはじまり、レースの場所・地面の状態・距離・右回り左回り・出走頭数、などなど。レースによって雄雌、○才以下、獲得賞金○○円以下、長距離、短距離、障害の有無、その他にも様々な情報がありましたがもうすでに頭がいっぱいです。馬によって得意な距離、コース、天候があったり、騎手によっても馬の働きが変わってくるので、各新聞もいろんな予想をしてきます。

このコースはこの馬が得意だからコレで決まり!とか、前日の走行練習で調子が良かったからコレがくる!とか、馬と騎手の組み合わせで、コレで間違いなし!とか、大きな見出しが必ず付いています。・・・ま、ほとんど外れますが(笑)。

大きなレースはだいたい週末に行われます。その中でも○○賞、とかG1レースなどと呼ばれるメイン中のメインは日曜日の第11レースに行われます。レース自体は12レースまであります。なぜメインが最後じゃないのか知っていますか?一説によると最後にメインをやってしまうと帰りの混雑が大変なことになるからあえてもう1レースやって、勝ったから帰る人と、もう1レースに賭ける人とに分散させるのが目的のようです。まあでも結局は儲かるからもう1レースやってるんでしょうけどね。

やってみると、情報が色々あるのでかなり迷いますが、どの情報を元に予想するか、そしてその通りになるとこれほど楽しいことはありませんでした(笑)

新聞は週半ばの事前予想金曜日の直前予想の新聞があります。最初は競馬おじさんの予想し終わった新聞を借りて予想合戦をしていましたが、そのうち、その方の奥さんがおじさんの分と自分の分と2紙買ってきてくれるようになりました(笑)。競馬新聞は100円~200円くらいのものなので恐縮しながらもありがたく頂戴していました。

予想し出すといくらでも悩みが尽きず、新聞のプロの予想から編集者の予想、人気オッズや過去の戦歴などいくらでも可能性があり、絞り込むのが大変でした。おかげでその頃は退屈せずに週末を楽しみに過ごすことができました。看護師さんには「二人で何やってんですか~」とよく言われていました。リハビリが競馬のメインレースの15時台にかぶる時は変更してもらっていました。「あーその時間はちょっと・・・」と、最初は「競馬があるので」とも言いづらく言葉を濁していましたが、そのうちみんなにバレてました(笑)

因みに、競馬おじさんはインターネットを介してノートパソコンを使って実際に購入していましたが自分は予想だけして楽しんでいました。たまに自分の予想に乗っかってくれることもありましたが、まー外れますね(笑)

その方とはお互い退院して競馬は終わっちゃいましたが、今でも連絡取り合っています。病院で合うと近況報告したり、年賀状も送り合っています。病気や入院は大変ですが、そんな世代を超えた交流ができたことはうれしい限りです。

世代が違っても同じような体験をしたもの同士分かり合えることがあるものです。病気をしたことがない人にはなかなか分かってもらえないこともあり、仲間というか、同じ病室の戦友のような感覚です。そういう仲間というのは本当に心の支えになったり、弱音を吐いたりしやすい相手でもあるので、絶対いた方がいいですよ。

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