第19回 個室についてと看護師さんあれこれ

シリーズ~脳出血~
子どもたちの学校は冬休みに入り、家族そろって親戚の家で待機、リハビリも年末年始はお休みで病院内の職員さんも少なく病棟もいつもにも増して静かになっていました。
身体の右半身はしびれが続き、手先、足先は感覚も鈍く、ほとんど右手は使い物にならなくなっていました。主に左手を使っていました。
右手では本のページすらうまくめくれず、まるで自分の手じゃないみたい。手袋をした手、又は素手で雪だるまを作ってかじかんだ手、と言えば少しは想像つくでしょうか。左手の指一本で操作できるスマートフォンに随分助けられました。
顔は右耳周辺と口周りがしびれていて、左眼だけが少し内側に寄り焦点が合わず、眼帯をして右眼だけで物を見ていました。
歩くには歩けるのですが、点滴台か手すりに掴まってゆっくりゆっくり、一歩一歩歩くのが精一杯でした。検査室やリハビリ室への移動は車椅子でしていました。
耳の具合もおかしくなり、聴こえづらいんたけども、高音、ビニールのカシャカシャ音や金属が当たる音、物が落ちる音、人のクシャミや子どもの甲高い声、そういったものに過敏になっていました。聴覚過敏というらしいです。
一番困るのは風呂ですね。入浴は日常生活の中でも結構難易度が高い行為なのです。立ったり座ったり、脱いだり着たり、手足・指先・頭、全て使うので、入浴後はぐったりきます。
ほんとにしんどい行為ですが、やっぱり洗わないと気持ち悪いので、できるところは自分でやり、頭や背中を若い看護師さんに洗ってもらったり、体を拭くのを若い看護師さんに手伝ってもらったり、服を着るのを若い看護師さんに手伝ってもらったり、濡れた髪を若い看護師さんにドライヤーで乾かしてもらったり、部屋からバスルームまで若い看護師さんに付き添ってもらったり、と本当に大変でした(笑)
いやいや、本当に大変なんですよ?
最初は裸を見られるのも恥ずかしかったですが、「看護師さんもプロだ」と思ってからは、むしろ積極的にお手伝いをお願いしていました。
いや、ほんとうーに大変でした。
もちろん男性の看護師さんも多いので、一度、
「手足不自由で大変でしょ?全部洗ってあげますよ!男同士ですから遠慮しないでください!
と、ハイテンションで来られた時がありました。もちろん丁重にお断りして頭だけ洗ってもらいました。
爪切りもしてもらってたんですが、一緒にクリスマスの夜を過ごした男性看護師さんは爪切りに詳しく、「この爪切りはいい爪切りですね。そもそも爪切りの種類はいくつかあって…」「いつもどれくらいまで切ってますか?そもそも爪が巻き爪になるのは…」などと、爪を切りながら熱く爪について語ってくださいました。早口言葉じゃないですよ?
トイレは個室だったこともあり、ベッドから5歩で行けたのでまだ楽でした。でもゆっくりトイレ行った時に限って回診や見回りがあったりして、「あれ?いない」と言われることもありましたが、「ここでーす!」とも言えずちょっと恥ずかしかったです。

どこかで書こうと思っていたんですが、「個室」と言っても必ずしも有料ではありませんよ?

お医者さんの判断で、必要と思われれば無料で個室にしてくれます。
自分の場合は、「命に係わる病気で予断を許さない状況だった」ということですが、搬送された時から2~3週間個室でした。「医師の判断で個室にしてもらいました。別途料金は発生しません」みたいな書類に震える手でサインはしました。それでも個室ベッドは1日何千円もかかる、という話は聞いたことあったので退院まで不安でした。
個室にも病院によっていろいろ種類があります。職員さんでもめったに入室する機会すらない、付き添い者用の別室から応接セットまである特別室とか、ビジネスホテルみたいなトイレと洗面台とベッドがある部屋とか、ただベッドがあるだけの狭い個室もあります。自分はビジホタイプの個室でソファやタンスやクローゼットもあり快適でしたよ。
急に入院となると細かいとこまでなかなか気が回りませんが、大部屋で辛いようなら聞いてみてもいいと思いますよ。ただ、個室は限りがあるのでその時の空き状況や、病状による優先順位にも左右されます空いていて運が良ければ個室も夢じゃないかも!?
年末が近づくにつれ、しびれ・めまいが強く寝付けない日も増えてきました。夜間に強くなることが多かったです。
その日も頭や身体が締め付けられる感覚で寝付けず、少しでも楽な体勢を探してテーブルに突っ伏しながら耐えていました。
見回りの若い女性の看護師さんがやって来て声をかけてくれました。
「頭や体がしびれて締め付けられるようで辛いんだけど、寝るともっと辛くなって・・・」
なんて愚痴のような話を、しゃがみこんで目線を合わせてうんうんと黙って聞いてくれます。
「ちょっと待っててくださいね」と、言って病室を出て何かを持って戻ってきました。
氷枕にタオルを巻いて持ってきてくれたのです。
「頭を冷やすと楽になる事あるので試してみてください。辛いと思いますけど頑張ってくださいね。何かあればすぐ呼んでくださいね。」
と、ベッド脇にしゃがみこんでじっと目を見つめ、手を握られて言われた日には、運命の人に出逢えた、とすら思っちゃいます。
「惚れてまうやろッ!」ってお笑いのギャグじゃないですけど、惚れないほうが「どーかしてるぜッ!」と思っちゃいます。まあ、それどころじゃなかったですが、とても癒され勇気づけられました名前も顔も思い出せませんがすごく可愛らしい方でしたね。
職員さんの数も多く、同じ方が担当になることは少なかったので、その方とはそれっきりでした。もしかしたら天使だったのかもしれません。仏教徒ですが。あ、幼稚園はキリスト系でしたよ。だからか(笑)
その後、持ってきてもらったよく冷えた心温まる氷枕で頭を冷やしながら朝までゆっくり眠ることができました。
恋心やトキメキって人を元気にする力がありますよね。免疫が上がるのでしょうか。笑うのもいいらしいですし。一人きりでは絶対に得られないものです。
みなさんもたくさんときめいて、笑顔を分かち合って平和な世の中にしていきましょう。
とまあ、タメ口のヤンキー風看護師さんから、年配のお母さんみたいな看護師さん、はたまた身長2mの屈強な男性看護師さんまでいろんな人がいましたよ。手のリハビリがてら似顔絵描いて遊んでましたね。本当に皆さんには感謝感謝です。ではまた。

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