第34回 飲み込みをみまもる妖精ちゃん

わーい シリーズ~脳出血~
楽しくなります♪
飲み込みがうまくできなくてトロミのついたものしか飲めなくなったんですが、もう少し詳しくお話ししましょう。
誰しも経験あると思いますが、慌てて飲んだ飲み物が気管に入って(入りかけて)ゴホッゴホッとむせることありますよね?
そうやって気管や肺に水分が入らないようにしてるんです。
そもそも、喉には2つの道があります。呼吸をする気道と、食物を胃に運ぶ食道ですね。
気道が喉の前側で、食道がその後ろにあります。
頻度を考えればわかると思いますが呼吸は休みなくしていて、たまに飲み物・食べ物ですよね?
そう、食べ物を飲み込んでるときだけ前側の気道にフタがされ、奥の食道に飲み物や食べ物が送り込まれるのです。
でも食事中息苦しくなることないですよね?
気道にフタ(咽頭蓋)をするのはほんのわずか。
飲み込む瞬間に0.5秒だけフタを閉じて食物を食道に流し込むのです。
上を向いた弁が気道に蓋をするためにパパッと動くのです。
本当に人間の身体は複雑で繊細な動きを無意識にしてルンです。
自分の場合は、この0.5秒がわずかに遅れてたんです。
しびれとマヒによるものです。
わかりやすく言うと、
電車が踏切入ってから遮断機が下りる、
カウパー出てからゴムつける、
そんな感じでしょうか。
ちょっと遅くない??
ということで、その日からノロマのフタに合わせて水分にトロミがつけられました。
トロミ粉という商品があることもびっくりでしたが、トロトロにする事でゆっくり喉に落ちていき、遅いフタちょうど合う、という寸法です。
その人のフタの閉まり具合によってトロミの強さも変わります。
余談ですが、咽頭蓋というフタは人によって形がちがうんですって。
おおまかに分けると、スプーンのように反り返った「バッチコイタイプ」と平坦な「お先にどうぞ」タイプ。
自分はもちろんバッチコイでした。
ここにも食べ物・飲み物が溜まるのでたまったもんじゃありません。?
機会があれば皆さんも一度見てみては?
世界初の咽頭蓋占い師になろうかとも思ったことあるんですが、レントゲン撮影が必要なので諦めました。
誰か世界初の咽頭蓋個人認証開発してくれませんかね?
これはなかなか偽装できませんよ〜?
でも認証する度に被曝するのでちょっと怖いですね。
スマホに付いてたら嫌かも。
で、本題ですがトロミのついた飲み物(不味い!)、味噌汁、細切れにされた食べ物、これらの食事の食べ方を指導されます。
ちょっとずつ食べろ、とか、一口食べたらお茶飲め、とか色々めんどくさいんですが、これって物凄く重要なことなんです‼️
気管支へ入るとむせて、これが何度も続くと結構つらいです・・・しかし、むせてるうちはまだいいんです。肺に入らないように身体が反応してるわけですから。ほんとうに怖いのは、麻痺によって気づかないまま肺にいろんなものが入っちゃうこと。
肺に異物が入るとタンが増えます。そして次に高熱が出るそうです。体が弱ってると最悪そのまま御臨終になるとのこと。
よくニュースでお年寄りが、肺炎の為亡くなりましたって耳にしません?
自分も、「年寄りは風邪ひきやすいんだなー」くらいに思ってましたが、そうじゃないんです。
多くは、気づかない間に食べ物・飲み物が肺に入ったことによる肺の炎症で亡くなるらしいんです!
自分も検査するまで飲み込む時によく咳き込んでました。
恐らく気管支に入っていたのだろうと思われます。
お医者さんからも、
「若くて体力あったから今まで何ともなかったんだろう、そうじゃなければ高熱出してたよ」と、言われました。
だからこそ、専門の資格を持った妖精ちゃん達が直々に指導してくれるのです。
リハビリは基本18時までにすべて終わるのですが、食事の指導をする場合は夕食の時間が18時を過ぎるものですから残業になります。
検査後、食事の指導があるということで、妖精ちゃんがトロミのついた専用の食事をもってわざわざ病室まで来てくれました。
そして注意事項を説明されて、スプーンを使って左手で食べ始めました。
この時、両手が不自由だとアーンしてもらえます。もちろん無料で。
自分はどちらの手でも食べられるので、自分で食べます。
食事の邪魔にならないよう観察するために、妖精ちゃんが斜め後方からジッと見つめてきます。
小さじスプーンを一口入れてしっかり噛みます。
飲み込む時に右を向き、気道をつぶして食道に入りやすくしてから飲み込みます。(これはその人の喉の状態によって違います)
お茶を一口、やはり右を向いて飲み込みます。
グビグビ飲むことは決して許されません
初めの食事は1時間ほどかかりました
シーンとした病室内。
ベッドに座り、テレビを見ることも出来ず、ただただ何もない前方を見つめながら「もぐもぐゴックン」するだけ。
食事はできてから小間切れにされ、とろみをつけたものが出てくるのですでに冷たく、お世辞にも美味しいとは言えません。毒見を散々された将軍様か!
そもそもめまいやしびれで元気もなく、運動もできてないため、食欲もあまりありません。
それでも残業して食事に付き合ってくれている妖精ちゃんに悪いと思い、ひたすら「モグモグ、ごっくん」を繰り返します。時折なにかメモする妖精ちゃんの姿が視界の端にチラチラ入ってきます。
可愛い子と2人きりというだけでも照れるのに、後ろからジッと食べているところを見つめられて恥ずかしいし、シーンとした中、自分のために遅くまで残ってくれてるんだからちゃんとしないと、と思い緊張すればするほど・・・
・・・その状況に思わず笑ってしまいました。
クックックッ、と堪えてましたがしまいにはむせてしまいました
妖精ちゃんは、「見られてると落ち着かないですよね!一旦外出ますね!」
と、開きっぱなしの扉から一旦出るのですが、壁とカーテンの隙間をそーっと通って、後ろに回ろうとしているのがバレバレです。
カーテンといっても薄い病院のカーテンですから、廊下からの明かりで丸見えなんです。
しかも、コッソリ移動してるのですが、薄いカーテンがゆらゆら揺れてるし、そもそも短いカーテンなのでひざ下が丸見えです。
見ないように、気づかないように、しようとしたんですが、我慢できずむせました
「あ、あ、ごめんなさい、大丈夫ですか?今度はほんとに、外に出ます!」
ようやっと咳も落ち着き、改めて、ゆっくりゆっくりと噛みしめ、飲み込んでいきます。
飲み込んだら、お茶を一口飲みます。
食道に通りやすいように、右を向いて、飲み込・・・
・・・カーテンの隙間から妖精ちゃんの顔が半分覗いていました。
盛大に吹き出しました。
白いカーテンに浅黒い顔がきれいに半分見えたのです。
もちろん真顔です。
こわっ!
まるでホラー映画のワンシーンのようでした。
笑っちゃむせ、笑っちゃむせ、もう食事どころではありませんでした。
おかしいのと、苦しいのとで死ぬかと思いました
黒い妖精ちゃんは、
「なんで笑うんですか〜!真面目にやってるのにぃ〜」
と、どこかで聞いたようなセリフを口にしていました。
うまく伝わったでしょうか?
やはり、病院に1人は癒しキャラ必要ですよね
この辺りから、大変ながらも笑いの絶えない入院生活になっていくのでした。

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