ホラー続きだったのでちょっと明るい話題を。
手や足のリハビリは、握ったり摘まんだり、立ったり歩いたり、と割と傍目にも地味で、でも結構つらい時間だけがただただ過ぎていきます。
そんな中、唯一の癒しの時間が「言語聴覚」でした。
顔の右半分が痺れて軽くマヒもあり、以前のようにしゃべれなくなっていたのと、飲み込みがうまくできなくなっていたのでそのリハビリです。
他のリハビリと違って、個室で机に座って、向かいあって行います。
顔の表情を確認するためだと思いますが、これが結構照れます。いい年して(笑)
だって、個室で、二人きりで、若い女の子(しかもカワイイ)とほんの数十センチの距離でじっと見つめ合うんですよ?人によってはちょっとしたご褒美?うれしいような恥ずかしいような・・・(笑)
そんないつもの流れは、まず顔の(主に口周り)の体操をして、あとは雑談してました。
しゃべるのもリハビリなんです!
で、まず最初は口の運動です。向かい合って一緒にやります。
妖精ちゃん「じゃ、わたしの動きをまねしてくださいね。ではいきますよー」
ベロを突き出して、右・左・右・左。ベロを出したり引っ込めたり。口を開けたり閉じたり。すぼめたり、広げたり。ウ・イ・ウ・イと声を出したり。
・・・ちょっとカワイイんですけど!!
なんか女性の見てはいけない姿を見てるみたいで嬉し恥ずかしい気分に。
若い女の子が、舌をベロベロしてるとこなんて普通見ます?口をすぼめてるところなんて完全にキス顔ですよ!頼んでも見せてくれませんよ?それか有料のオプションです(笑)
でもここは病院のリハビリ室。もちろん入院費やリハビリ代はかかりますが、保険も効きますし、高額医療の場合は収入などの条件によって、数万円~10万円くらいまでで済むようになっています。あとは、今、国の財政を圧迫していて問題になっている社会保険が負担してくれます。本当にありがとうございます。
国のお金でペロペロしていていいんでしょうか? いいんです!
いや、こちらはいたって真面目、真剣ですよ?飲み込みなんて一歩間違えたら死んじゃうんですから。命がけなんです。だからちょっとくらいウキウキ、ソワソワ、ドキドキしてもよかですやん?
若い自分が社会保険やら介護保険やら使ってなんだか恐縮しちゃいます、なんて話をソーシャルワーカーさんに話したら、「病気なんですから、そんな遠慮せず、利用できるものはしっかり利用して、はやく元気になって社会復帰しましょう!」と勇気づけてもらいました。その言葉でちょっと心が軽くなりました。
で、リハビリなんですが、だんだん慣れてくるとあまりお手本やってくれなくなってちょっと寂しかったです(笑)
妖精ちゃん「じゃ、いつものやりましょうね。まずはベロを左右から。はいどうぞ」
(冷たい・・・一緒にやろうよ~)
そんな思いで妖精ちゃんを凝視しながらやってたら、
「鏡を見ながら、自分で動きの確認しましょうね」と、やさしく諭されます。
鏡の中にはヒゲのおじさんしかいません。つ、つまんね・・・
それでも、妖精ちゃんといる空間は楽しく、掛け声に合わせながら運動していました。時々、「もうちょっとこうしましょう」と指導してくれます。
そんなある日、いつものように口の運動をするときの出来事。
妖精ちゃん「じゃ、10回やりますからね。数えますよ。せーの・・・」
この時はベロの出し入れ、アッカンベーの運動だったんですが、一向に何も言ってくれません。
1,2,3、・・・と数えてくれるもんだと思っていたので、自分では数えていませんでした。
(たぶん心の中でカウントしているんだろう。10回終わったら「はいそこまで」とか言ってくれるはず)と、思いながら頑張ってしびれた口を動かしてベロベロしていました。
(・・・10回って言ったよな?10回ってすぐ終わると思うんだけど。数えてなかったけどいくらなんでももう20~30回はやってない??ん?)
と、思っていると、妖精ちゃんが一言。
「・・・あ、数えるのわすれてました!」
「もういいですもういいです!」と慌てる姿に思わずまた吹き出してしまいました。
そのあと笑ってしまってリハビリどころじゃなかったです。ある意味これ以上ないリハビリかもしれません(笑)笑うのって口周りから腹筋まで使った運動にもなりますし、けっこう体力使います。正直、疲れます。
でも、この時間が最高に楽しかったです(笑)
後はしんどいリハビリと、冷たい食事と、トイレの見張り、が主な仕事でしたので、ほんとうにありがたかったです。
妖精ちゃんエピソードはまだまだあるのでお楽しみに♪
コメント