第56回 オセロでリハビリ

シリーズ~脳出血~

前回は妖精ちゃんとのリハビリを書きました。

今回はおじさん、いやいや、お兄さんたちとのリハビリの模様です。えっ?あんまり興味ない?
・・・気にせず書きます。

妖精ちゃん言語聴覚なので口や喉に関する運動をしますが、手のリハビリは作業療法といいます。担当はいつもお風呂についてくるピー助くんですが、もちろんお休みの時もあるのでその時は別の誰かになります。そこにいたプロの雀士・・・ではなくオセロの棋士がいたのです。

オセロはハッキリ言って得意です。1970年代でしょうか。まだ「オセロ」という名もなかった日本生まれのボードゲーム。シンプルでルール説明も5秒でおわります。昨今の分厚い説明書のあるややこしいゲームではありません。小さい子でもできる最高のゲームです。新しいもの好きの父親が買ってきたボードゲームで子どものころから遊んでいましたし、オセロのゲームウィッチで全レベル制覇するほどの腕前でした。昔なのでもちろん液晶画面で白黒でした。終盤になると「thinking now」と表示され、10分でも20分でも平気で待たされます。全通り計算していたんでしょうが、なんせ30年以上前です。演算処理速度も今のスマホの100分の1もなかったのではないでしょうか。それでも一人でいつでもできるオセロゲームは暇さえあればやっていました。

オセロで大事なのは「角を取られない事」。そのためには角回りの3ますには絶対自分の駒を置いてはいけません。あとは最初に取りすぎない事。最初調子に乗ると、終盤ひっくり返す選択が減り置きたくない所に置く羽目になります。

そんな感じで、しかし大人になって久々にやることに。その日はピー助くんはお休みで、代わりに入ったのが「師匠」でした。師匠は将棋でも、囲碁でもなんでもできるようでした。これらのゲームは決して遊びではなく、指先を使って駒を動かしたり、ひっくり返したり、もちろん楽しみながら頭の体操にもなるので作業療法の時間には人気のリハビリでした。女性陣は編み物や、パズル、塗り絵、なんかをやってる方が多かったですかね。

自己紹介もそこそこに「オセロ好きですか?」と聞かれました。もちろん好きだと答えると次にいくつか質問されました。

「指先の訓練をするように指示がでてるんで、痺れている右手を使ってやりましょう。たくさんひっくり返せるようにやりますね。角はお互い2つずつ取っていい勝負になりながら最後は勝てるようにしますね。」

・・・この人はゲーム始めてもないのに何を言ってるんだろう?勝負なんだからそんな思い通りに行くわけないだろう!なめてるな・・・オレ様の実力を見せつけてやる!!

・・・角を取りました!
・・・角を取られました
・・・取りました!
・・・取られました
・・・取りつ取られつ、いい勝負が続きます
・・・接戦になってきました。終盤になりひっくり返す数も多くなりました。けっこう右手が疲れます。手先がプルプルしてきます。
・・・
・・・
・・・
・・・ぎりぎり勝てました・・・

言ったとおりになっとるやんけ!!

えっ!?なになに?なにが起こった?どういうこと?

あきらめきれずもう一度挑みましたが(一応勝ってるんですけど・・・)同じ流れで勝ちました。

勝った感じしない!!勝たされてる!!なにこれ!!おれはお釈迦様の手のひらで踊る孫悟空か!?

完敗です。それから「師匠」と呼ぶようになりました。いろいろ教えてももらいました。師匠曰く、「勝つためには相手の気持ちになって相手が嫌がるところにおくべし。片側に集めるようにおくと相手が置くところがなくなって追い込まれる。それができるようになればある程度ゲームを支配できるようになる。」

オセロって深いです!!

また師匠は、あえて相手に角を全部取らせてそれで勝ったり、全部ひっくり返して途中で勝負を終わらせたり、本気になるとなんでもできます。角を取るゲームだと思っていた自分には衝撃的でした。自信を持っていた自分が恥ずかしい・・・誰でもできる単純なゲームですが、ほんとに奥が深いので是非皆さんやってみてください。アプリやネットでもできますし、友達や家族でやっても盛り上がれます!

負けると悔しいですが。

師匠も転職して、もうお会いすることもなくなりましたが、今日もどこかで誰かを勝たせていることでしょう。師匠、永遠なれ!

コメント

  1. arh より:

    古代中国にそんな囲碁の名人がいたっけな。いつも3目差で勝つんだって。

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